映画『堀川中立売』を学生映画人に観てもらいたいわけ
こんにちは。映画団体”焼ノ原”京都支部長、まきのです。
今回は、僕の叫びです。
先日、京都シネマ(http://www.kyotocinema.jp/)さんにて公開中の映画『堀川中立売』(http://www.horikawanakatachiuri.jp/)を観てきたのです。
この映画、何が素晴らしいかって、"京都"というステレオタイプ化されたイメージを覆し、"日常としての京都"あるいは"住んでいる人にとっての京都”を舞台とし、さらに"日常≒混沌"という矛盾を映画として体現してしまっている点にあります。
それは、社会の何の役にも立たない"ヒモ"と"ホームレス"が、京都で"ドロップアウトを許さない人類奴隷化計画"を推し進める"権力者"と戦い、世界を救う。という荒唐無稽なシノプシスでありながら、勧善懲悪という最もわかりやすいスタイルで作られた映画であることからもわかると思います。
この映画にはおそらく安倍晴明的な"あべさん"と、おそらく芦屋道満的な"加藤the catwalk DOMANSEMAN"っていう人物が出てきますが、そんなもの本筋とは関係なく(ないことはないが)て、”ただおもしろいから”という衝動だけで描かれている感が満載なのです!
おそらくこの10年間、もっともはちゃめちゃでむちゃくちゃでぐちゃぐちゃでカオティックな日本映画『堀川中立売』を、なぜ僕が、今現在映画を志している学生たちに観ろ観ろと口をすっぱくして言っているのか。
それはただひとえに、映画を撮る初期衝動がこの映画にはいっぱい詰まっていると思ったからなのです。
昨今の学生映画は、技術的クオリティが商業映画にも負けないような作品も出てきたり、またビデオの登場、映画を教える大学の増加などで今までより一層目にする機会が多くなってきています。
しかしそこには、テーマとしてよくまとまっていたり、技術的に素晴らしい出来だったりする作品は多く観られますが、胸にキュンとくる作品はほとんどまれです。
それはもうせっかく映画を撮るのですから、考えに考えて、商業映画に負けないくらいの映画を作りたい、とは思うのですが!
もっとみんな、作りたいもの作っていいんじゃないでしょうか。
アクション映画が好きだからアクション映画が作りたい、スプラッター映画が好きだからスプラッター映画が作りたい、カンフー映画が作りたい、怪獣映画を作りたいetc...
そんなただ初期衝動だけを原動力として作られた、めちゃくちゃで成立してなくてもいいから、なんだか楽しい、そんな映画をつくって欲しいのです。
そしてそんな初期衝動を大人になってもやっちゃってる映画『堀川中立売』を見て、その衝動に触れ、思い出して欲しいのです!
20歳前後で描いた"家族""友情""思いやり""社会問題"とか描かれてもおもんないんです!
って、そこまでは言い過ぎなのですが、つまり僕が言いたいのは、物語を語るな、ということであります。
「いやいや物語の奥にある感情がテーマです」って言っても寒いだけです。
映画が映画たる理由って、もっと遊びに近いんです。
そういうのを、この映画『堀川中立売』から感じてもらいたい。
感情的で個人的な文章ですが、書かずに入られませんでした。
そんな僕の衝動を受け取ってもらえたら嬉しいです。
2011年
3月12日より京都シネマにて
3月26日よりシネマート心斎橋にて
4月16日より神戸アートビレッジセンターにて
京阪神ロードショー!
*以後、全国各地へ巡回予定
*くわしくはコチラ↓
http://www.horikawanakatachiuri.jp/blog/?p=337
『堀川中立売』 " DOMAN SEMAN "
2010年|HD|123分45秒|シマフィルム作品
柴田 剛 監督作品(『おそいひと』)
公式サイト: www.horikawanakatachiuri.jp